第2回ジョイントコンサート
加藤良一 |
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開演5分前の予ベルが鳴り、袖に待機していたメンバーが各団ごとにステージの山台に整列した。下ろされた 今回のコンサートは、1回目の2年前にくらべてオンステメンバーがわずかに減っている。団によっては2年間のあいだにメンバーや指揮者の入れ替わりもあった。さらに重要なメンバーが仕事や病気で出られないなど、さまざまな事情を抱えながら活動してきた。しかし、厳しい台所事情を抱えた団があるときこそ、YARO会の長所が活かされるときでもある。どうしてもメンバーが足りないときは、SOS発信、ほかの団に助っ人を頼んで乗り切ったこともあった。そうすることで相互の交流がどんどん深まり、ほかの団に加わってコンクールに出たり、YARO会の枠をも飛び越してさらにその先の合唱団へ参加する人など、男たちの合唱に対する熱い思いは止まるところを知らない。 このような活動を展開してきたYARO会の集大成が、今回の第2回ジョイントコンサートである。合同練習も5回に及び、それこそ満を持しての演奏である。各団の演奏曲目はとくに調整したわけではないにもかかわらず、ミュージカル、タダタケ男声合唱曲、日本抒情歌曲集、宗教曲、チャイコフスキー歌曲集と古今東西にわたるバラエティに富んだものとなった。 さて、本番の模様はどうであったろうか。われわれ出演者は自分の出番のときこそステージの上にいるが、あとは楽屋のモニターを覗くことしかできず、実際に会場で聴くことはできない。それに私は受付の状況などのチェックで楽屋と受付とを行ったり来たりしていたから、なおさら演奏の一つひとつを聴いている暇などなかった。いずれ出来上がる予定のCDやDVDで確認するしかない。そこで演奏の様子については、お客様に書いていただいたアンケートを引用しながらお伝えするとしよう。もちろんアンケートをお書きいただいたお客様はさまざまである。合唱に詳しい方ばかりではない。加えて遅れて来られた方もいるので、初めのほうの団に対する感想は少ないようであった。そのような諸々の背景や事情を勘案してお読みいただきたい。(緑色のゴシック体の箇所がアンケートからの引用である)
エール交換とは、大学グリーの合同演奏会などでよくやるもので、出演団体がお互いの健闘をたたえあい順に団歌を歌ってゆくオープニング・セレモニーである。自分の団の演奏が終わると、指揮者は次に演奏する指揮者と握手を交わしてバトンタッチする。エール交換をはじめてご覧になる方には、とても新鮮で楽しい企画に写るようだ。お互いの健闘をたたえてエールを送る、歌うほうもとてもワクワクするものである。いってみれば顔見世のようなものだろうが、各団の特徴が見られるし、いよいよこれからコンサートが始まるのだという高揚感や期待を持ってもらえるのがいい。ただし、最初の歌ということであり緊張して硬くなっていたのでは、と仰る方もあった。 |
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ポパイは、『ミュージカル ラ・マンチャの男』をピアノ伴奏付きで演奏した。英語たいへんだったでしょう、言葉がわからないけれどハーモニーがとてもきれい、年々ハーモニーがきれいに響き渡ってきて羨ましい、前回にくらべるとメンバーが2/3にもかかわらずアンサンブルがずっとよくなり、指揮者の意図がよく伝わってきた、少人数ながらよくまとまった演奏だった。とくに内声が安定しているように思う。また、ベース・ソロが声もよく素晴らしかった、皆自信満々でよく声が出ていた。テノールのファルセットがきれい、明るい輝かしい声に敬服、ピアノが合唱を引き立てていてとても心地よく感じた、ドン・キホーテの勇ましさと愉快さが伝わってくる演奏だった。高い技量と繊細な表現でありながら力強くポパイらしい、また柔らかい声だったと好意的な評価が多かった。
ところがいっぽうで、口の開き方が甘いせいか聴き取りにくい部分があった、もっと力強く、1曲ぐらい日本語で歌ってくれたらいいのにとのご意見もあった。ピアノが強すぎた、歌とピアノのマッチングがいまいち、指揮者一人力が入っていて人数に見合う声が出ていなかった、いつもより歯切れが悪かった。歌詞がはっきり聴き取れず、全員の声が揃っていなかった。一人ひとりは美しい声が出ていたが、それが美しいハーモニーにつながらなくて残念。一人ひとりの個性よりも他の人の声に合わせた調和を大切に…と感じた。全般的に響きはよかったがもう少し押し出しも欲しい、楽譜の持ち方、ページのめくり方に統一性が欲しい。邦人作品のほうがよかったのではないか、とさまざまである。
今回ドンキは宗教曲一本に絞ったプログラムで臨んだ。アベ・マリアばかり集めた選曲は面白い、やはり男声合唱はア・カペラがいい、難曲によく挑戦しよくまとめていたとお褒めの言葉をいただいた。とても柔らかく、包み込まれるような声で素敵だった、顔の表情が豊かで男声合唱らしさがあったし、テノールソロもよかった。12月にふさわしくとても素敵です。声が揃っている、響きがよかったです。元気をもらいました。 その反面、楽譜から離れきれない人がいて、ハーモニーがいまひとつの部分もみられ、パートのバラツキもあった。シンプルな曲のように思うので、追いかける部分など合わせるのが難しそうでした。サウンドがもう少しクリアになればと思いました、歌い込めばもっとよくなるはず、テノールが揃っていない、なおかつ力みすぎ、難曲に挑む意気込みは買うが、曲が合っていなかったのではないかとのご指摘もあった。
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